愛する人と結婚して、子供を育てて、いわゆる"普通"の幸せな家庭を築いて幸せな時を過ごしても、
夫に先立たれたり、子供達と疎遠になれば、簡単に人は孤独になる。
寂しいという感情は一生つきまとう。
朝、頑張って起き上がったって、どうせ一人で、どうせ寂しくて、どうせいつもと同じ1日がまた始まるだけ。
どうせ
どうせ
でもそれでも、生きる。
なぜなら
その命は奇跡だからだ。
先祖たちが、生きて死んで生きて死んで
気の遠くなるような長い時間をつないで
そして存在している、奇跡の命だからだ。
寂しい日々の中に小さな楽しさを見出したり
ささやかな人との繋がりを思い出したり、
愛する人との過去を慈しんだり、
そうやってまた自分も歴史の地層の一部になる。
それだけで尊い。
桃子さんの平凡で地味な現在の日常と、
幸せだった過去の再現とを
対比することで、
ところどころコメディ調ではありながらも、
なんだかんだ孤独のつらさ、寂しさを描いている物語かと思いきや、
最後の最後に
ものすごいスケールで着地してたことに気づく。
沖田さんの作品のこゆとこが好きだ。
寂しいのは当たり前
それでも与えられた命に感謝して
今日も生きよう