七星

MOTHER マザーの七星のレビュー・感想・評価

MOTHER マザー(2020年製作の映画)
3.5
実際にあった祖父母殺人事件を題材にした映画。長澤まさみさん演じる秋子はどうして、あんな捻くれた大人になってしまったのか。
小学校から帰ってきた周平の擦りむけた膝小僧を成犬が仔犬をペロッと舐めるかのように、ベロッと舐める序盤のシーン鳥肌たった。
コンフィデンスマンのキラキラしたダー子とは裏腹に、初めはだらしのない感じでふっくらした体型の印象が強いものの、物語が進むにつれて窶れ、髪の毛も白髪混じりになり肌艶もなくなって見た目の衰退が凄まじかった。
周平と秋子のシーンは間と表情での語りが多く、親子ならではの独特な空気が流れていたように思う。めちゃくちゃ愛が伝わってくる場面と矛盾するような雑な扱いに胸がくるしくなった。
阿部サダヲさんは優しさとクズさと怖さを雰囲気に混ぜ合わせていて、秋子とゲーセンで出会った時のダンスを復縁を迫る時にもう一度踊っていたのはアドリブなのか、演出なのかが気になるところ。ただの野郎ではなく、色のあるチャラ男で今までのチャラ男のイメージが少し覆された。
依存してしまうほど何か好きになれるもの、夢中になれるものがあることは素敵なことだけど、恐怖と紙一重であり、人間を狂わせる。
女性や子供の浮浪者を私は日本では目にしたことが無いけれど、今もどこかで同じような境遇の人がいるかもしれないと思うと遣る瀬無い気持ちになる。
七星

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