「ダメですか?」
自堕落な生活を送る秋子と、それでも母の言うことに従い、常に離れない息子の周平。
成長してもなお変わらない関係の中、迎えた結末とは。
長澤まさみがイメージを覆す役柄を演じた話題作。
予告を観て、そうそうこういうくら〜い邦画が観たいんですよーと楽しみにしていた一本。
コロナのこともあり、劇場から足が遠ざかっていましたので少し存在を忘れていましたが、Netflixで観ました。
想定通り、「誰も知らない」のような毒親と子供の関係が初っ端からガンガン描写されます。
のっけから長澤まさみ演じる秋子のクズっぷりが凄まじい。
ゆきずりの男役の阿部サダヲはちょっと軽すぎるきらいもあったけど、その小物感がリアルなクズ男っぷりでまた…
どこまで実在の事件を元にしてるかは知りませんが、ある種退屈なくらい同じような流れを繰り返すのは、本当に底辺の世界はこう動くしかないのかなという半ば諦めにもなってきます。
善意で手が差し伸べられても、最後は母の言葉でしぶしぶつき従ってしまう周平の姿は、憤りとやるせなさを感じます。
ドランの「マイ・マザー」でも母と息子の憎しみあいにも似た関係性が描かれていましたが、父と子とは異なる母と子という関係は、正に愛と憎しみが表裏一体、そして越えられない壁、逆らえない壁のような関係性はまさに呪いとも言えます。
道徳的に考えて秋子の考え方は到底受け入れられるべきものではありませんが、それでも、母を好いてしまう息子の気持ちを否定することは誰にもできないのだと思います。
このような悲しい事件や親子、そして被害の巻き添えになる人々が出ないことを祈るばかりですが、現実は難しいのでしょうか…
長澤まさみがもう少し荒んでればもっと雰囲気出たんだけどなあ。
そこだけちょっと残念ポイントかも。