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マーベルズのRのネタバレレビュー・内容・結末

マーベルズ(2023年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

※物語全般とポストクレジットにも触れています、未鑑賞の方は注意!

映画館で。

2023年のアメリカの作品。

監督は「キャンディマン」のニア・ダコスタ。

あらすじ

キャプテン・マーベルことキャロル・ダンバース(ブリー・ラーソン「ワイルドスピード/ファイヤー・ブースト」)に敏腕エージェントのモニカ・ランボー(テヨナ・パリス「クリスマスを駆け抜けて」)とアメコミオタクの高校生ヒーロー、ミズ・マーベルことカマラ・カーン(イマン・ヴェラーニ)の3人が入れ替わる謎の現象が発生、困惑する3人の前にキャプテン・マーベルに復讐を誓うクリー人の戦士ダー=ベン(ゾウイ・アシュトン「ベルベット・バズソー:血塗られたギャラリー」)が現れる!!

公開前にドラマシリーズ「ミズ・マーベル」を観て、一作目の「キャプテン・マーベル」を観て復習もまぁバッチリ(「シークレット・インベーション」は観てない…)の状態で早速観てきました!

結論としては、爆発力…という点では物足りない部分もあるが、クスッと笑えて、最後にはハッ!と驚く「やっぱりMARVELは面白れぇなー」と思わせてくれる作品でした!!

お話はあらすじの通り、一作目は正統派な「Beginningもの」で、単体でも楽しめる作りになっていたのに対して、今作はクリー人とスクラル人による対立問題を背景にサノスの「指パッチン」問題だったり、「ソー」の要素が入ってきたり(スーツ姿のあの人登場!!)、そもそもマリアやカマラはそれぞれドラマシリーズ「ワンダビジョン」と「ミズ・マーベル」を観ていないと混乱するくらい密接にお話と主人公キャロルに絡む人物なので、これが初見という人には少々敷居が高い作品となっている。

つか、今作の初っ端時代「ミズ・マーベル」最終話のポストクレジットの続きも続き、直後から始まるしね。

ただ、その上で楽しめるポイントとしてはそれまで他のアベンジャーズのヒーローを全て合わせても圧倒的なチート級の強さを誇るまさに「最強」のヒーロー、キャプテン・マーベル(以下キャロル)が遂にチームを結成するという点!!これがめちゃくちゃ楽しい!!

どうやら不可解な場所に現れたジャンプ・ポイント(ワームホールみたいなもの)に触れたことで「フォトンブラスト」を筆頭に「光をエネルギーに変える」力を持つキャロルと「ワンダビジョン」でワンダの作り出した結界(ヘックス)に何度も突入したことで「光(電磁スペクトル)を操る」力を持ってしまったモニカ、そして今作ではキーアイテムとなる「量子バンドル」の影響で「光を物質に変える」力を持ったカマラ、それぞれ能力は異なるが、同じ「光」のパワーの能力者がリンクというかチャネリングしてしまい、能力を使う度にそれぞれいる場所が入れ替わってしまう事態になってしまう!!

乱暴な言い方をすればMCU版「君の名は」みたいな感じ笑ではあるんだけど、確かにこの現象はお話的には良くできてて、最強ヒーローのキャロルにとって能力を使うたびに場所が入れ替わってしまうということは例えればウサイン・ボルトが二人三脚して走らなければいけないようなもんでその都度制限やハンディが伴い、本来ならすぐに上手くいきそうな事態も苦戦を強いられる、つまりお話の「引き」になるわけだ。

で、その上でブリー・ラーソン演じるキャロルの魅力がこれ以上ないほど炸裂している本作。それこそ今までの作品だと守備範囲は全宇宙にも及び、その強さから基本ほとんど1人で何とかなってしまうことが多いことから、「孤高」のイメージがあったので、今回のトラブルも初めは「チームなんかいらない!」と突っぱねるのかなぁと思ったら、それぞれ親友の娘だったり、自分を推してくれるヒーローオタクのティーンだからかもだけど、割とあっさりチームを受け入れ、その上で女の子同士キャッキャしている様が微笑ましい。特にダー=ベンとの初の対峙の後、自分の宇宙船内でスイッチの扱い方を知ろうと普段のウルトラマンみたいなヒーロースーツから、WANIMAが着てそうなカジュアルなTシャツに着替えて、ジャンケンしたり、お手玉したり、ダブルダッチしたりしながら本当に自然な笑顔で楽しそうにしている様が、「あれ?キャロルってこんなにキュートだったっけ?」て思うくらい、改めて魅力的に感じてしまった!!その上で、もちろんヒーローとしてもカッコよくて、自慢の「フォトンブラスト」をはじめ、超人的なパワーと飛行能力は健在でほとんどピンチにも陥らないので安心して、そのヒーローとしての勇姿を堪能できるのもまた魅力。

また、キャプテン・ランボーことデヨナ・パリス演じる、モニカ・ランボー。今作ではフューリー(サミュエル・L・ジャクソン「ハンクの肉球大決戦」)も所属しているS.A.B.A.Rに所属している優秀なエージェントなんだけど、元々はアメリカ空軍時代のキャロルの相棒にして、親友のマリア(ラシャーナ・リンチ「ウーマン・キング 無敵の女戦士たち」)の娘であり、「すぐに戻ってくる」といったまま「帰らなかった」キャロルを待ち侘びているうちに最愛の母も亡くなってしまい、自身も「指パッチン」で5年間消えていた、キャロルとはそれ以来、つまり「因縁」のあるキャラクターでもあって、それが今作のドラマ部分にも大きく関わってくるんだけど、チームを結成してからは例えるなら「奔放な姉」と「天真爛漫な妹」との狭間で奔走する「しっかり者の次女」的な立ち振る舞いで、活躍どころとしては前半はその能力の「よくわからなさ」もあってイマイチではあるんだけど、ドラマに続いて更にキャラクターに厚みをもたらしていていい感じ。

そして、ミズ・マーベルことイマン・ヴェラーニ演じるカマラ・カーン。個人的にはMCUの中でも最も観るのが苦痛だったドラマシリーズを公開前にようやく長い時間もかけて鑑賞したというのもあって思い入れはひとしおのキャラクターなんだけど、今作では遂に憧れのキャロルと対面して喜び勇んでる感じがたまらなくキュート。立ち位置としても、言うてもその誕生はドラマシリーズで地元密着型ヒーローだったカマラがまさかの本陣の主演の1人ということで、演じるイマンちゃんも元々アメコミオタクだった普通の少女が演技初経験で主演した由来もあって、なんか「憧れのアイドルグループに加入した田舎出身の女の子」的な初々しさがまた良い!!ただキャロルとの対面の喜びも束の間、いきなりスクラル人の惑星破壊の危機に直面し、ヒーローとして人命救助に果敢に奔走する姿はやっぱりカッコいい!!

そんな3人が入れ替わり立ち替わり戦っていくんだけど、なんといってもその白眉は序盤にある初の戦闘シーン!!それぞれダー=ベンの宇宙船とS.A.B.A.Rの司令室、そしてカマラ家のリビングという場所で何度もスイッチしながら戦うんだけど、途中で今作でもマスコットのグースがカマラと一緒にワープしてきちゃったり、クリー人の戦闘兵がカマラ家や司令室に送り出されて戦うことになっちゃったりするハプニングもありつつ、リズミカルな音楽をバックに、スイッチして場面転換してもヒーローとしての順応性でそれぞれの能力で即座に戦いつつ、そこにカマラの家族やフューリーも参戦して即席のチームワークを遺憾無く発揮して戦うシークエンスがものすごくテンポ良く、かつ楽しく描かれていてここは何度でも観たくなる感じ!!

これぞ、MCU。作品ごとに毛色や趣向を変えて常に新鮮なアクションを観客側に見せようとする姿勢は凄まじい。

また、本作、上記の通り、コメディ要素が一際強い作風になっているんだけど、カーン家の家族も予想以上にお話に介入するも、それほど出過ぎずいい感じだし(「トランスフォーマー」シリーズのあの両親とは大違い!!)、途中で登場する水の惑星アラドナの、あのパク・ソジュン(「ドリーム〜狙え、人生逆転ゴール〜」)演じるヤン王子とドレスアップしてのディズニーお得意のミュージカルダンスシーンもめちゃくちゃ面白くて塩梅もいい感じ。

ただ、個人的にめちゃくちゃ面白かったのは終盤のグースのシーン。グースといえばこのシリーズのマスコットキャラとしての猫ちゃんかわいい〜な感じと口を開けるとグロテスクな触手でなんでも喰らい尽くす、その正体はフラーケンという種族の可愛さと恐ろしさが相まったキャラクターなんだけど、本作でも猫らしさに触手が前作以上に出てくる演出と共に、なんと今作では人間の脳みたいな卵(つかメスなんか!)を産んでジュニアたちが大量に登場する!!

で、面白かったのは途中、ダー=ベンの力によって現れたジャンプポイントによってフューリーたちが乗ってる宇宙船が崩壊の危機にあっちゃうんだけど、脱出するためのポッドが足りない!乗組員は350人さぁどうする!?という状況下で、グースの卵孵化というハプニングをこれだ!と考え、グースジュニアたちに食べてもらって積載量を軽くした状態で脱出する計画をフューリーが思いつくんだけど、乗組員を生まれたばかりの可愛らしい(でもみんなフラーケン)の猫ちゃんたちが喰らい尽くす様がシュールで笑える。また、見せ方としてもアナウンスで「フラーケンに食べられてください!」という異様な放送と共に逃げ惑う乗組員たちを、逃げおおせた!と思ったら背後からグワァー!とか壁に追いやられてグワァー!とかいちいちモンスター映画の食べられるシーンみたいで、バックでかかる壮大なメロディのチグハグさと相まって「俺は何を観せられているんだ…」と思いつつ、めちゃくちゃ笑ってしまった!!

そんな感じで面白くもあるんだけど、逆に本作、それまで長丁場が多かった作品群の中でも最短の105分という上映時間が観る前は良いじゃん!と思っていたんだけど、作品としての描き込みという点では明らかに足りなく感じた。例えば、キャロルを中心にモニカとカマラの関係性の築きもその対面なんかそれぞれそこに至るまでの想いもあるだろうに、意外にあっけなく感じてしまったし、その上での即席ヒーローチームとしての活躍も割と短いというか足りない。

つか、今作のヴィラン、「ベルベット・バズソー」のあの高飛車女役のゾウイ・アシュトン演じるダー=ベン自体、初めこそカマラが持ってる量子バンドルの片割れの力もあって強者感が出てるんだけど、謎現象のハンディを克服した3人の前でな意外に呆気なく負けてしまって物足りない!!演じるアシュトンの異物感が魅力的なだけにもっと拮抗して欲しかったかなぁ(ちなみに、現実でのアシュトンの旦那さんは同じMCUのロキことあのトム・ヒドルストン!!)。

あと、キャロルが何故長年の地球に戻らなかったのか、いや戻れなかったのかの真実自体はなるほどなぁー…という切ない感傷があったんだけど、それを経てのチームの絆が深まり、いざ最終決戦のパートも上記のダー=ベンの呆気なさや予告以上のチームプレイは観られなかったので不完全燃焼(まぁ、それまであんまり活躍しなかったモニカの自己犠牲的な活躍を描いたことは良かったけど…)。

あとミュージカル惑星っていう発想は面白かったのでもっと大本のディズニーらしく、もっと思いっきりミュージカルミュージカルしてよかったと思う!!

つまり、上映時間が短いとってのはこちら側にとっては嬉しいことだけど、ことMCUに関しては作品が入り込んでいてキャラクターも多いので描き込みという意味では難しいところだよね…ってこと。

ただ、まぁその上でめちゃくちゃテンションぶち上がったのはラストとポストクレジットのシーン!!キャロル、モニカとのチーム結成を経て、ヒーローとしての意識だけでなく、チームプレイとしての喜びにも目覚めたカマラが1人向かった先で対面したのは、なんと同じドラマシリーズ「ホークアイ」でもめざましい活躍を見せてくれたヘイリー・スタインフェルド(「スパイダーマン:アクロス・ザ ・スパイダーバース」)演じるケイト・ビショップ!!

「アイアンマン」で初登場したフューリーの「自分だけがヒーローだと思っていたか?」のセリフオマージュもそこそこに暗闇で椅子に雰囲気ばっちしに座ってチーム結成を持ちかけ、その上でアントマンの娘ちゃんも誘うことも宣言しており、そうなると遂に「ヤング・アベンジャーズ」結成なのかと胸がワクワク…したのも束の間、ポストクレジットでは自己犠牲で違う次元に閉ざされてしまったモニカが目覚めた先では、亡くなったはずのお母さんマリア!!その驚きも冷めやらぬまま、続いて現れたのは、なんとあの「X-MEN」のビースト!!しかも、演じるのはケルシー・グラマー(「ジーザス・レボリューション」)!!そう、つまり元祖「X-MEN」でビーストを演じていた俳優さん!!セリフでも「チャールズに報告せねば」と言及しているし、遂に長らく噂されていたMCUに「X-MEN」が参戦決定!!そうなるとプロフェッサーを演じるのは「ドクター・ストレンジ」2作目で変異体で出てきたパトリック・スチュアートではなく、リブート版のジェームズ・マガヴォイなのか!?えぇ、どうなんだい!?とめちゃくちゃ「引き」としてはこれ以上ない仕上がりでものすごくテンションが1人ぶち上がってまだ興奮が冷め止まない!!

というわけで、「MCU疲れ」なんて巷では言われてて、俺自身も今作観るまではそう感じてたんだけど、やっぱMCUおもしれー!!と再認識…したと思ったら今日のニュースで来年のMCU「デップー3」だけかよ!!早く観たいっつーの!!
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