茱萸

フランクおじさんの茱萸のネタバレレビュー・内容・結末

フランクおじさん(2020年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ポール・ベタニーとてもとても素晴らしいし、変わり者(と言われてる)ベスとフランクとの絆がとても良い。
「好きな名前で生きればいい」って言ってくれる一番の理解者。わたしもフランクみたいな人が近くにほしい。
フランクがゲイだって知る前からベスは性の相談までできてたのよな…
カミングアウトされたベスが冷たくしたり葛藤したりせず(そういう描写がなく)すぐに受け入れてるのもよかった。
お葬式に行く道中のロードムービー感、3人の雰囲気がすごく好き。
フランクの深い深い心の傷が辛くて痛くて苦しい。
遺言書でアウティング、最悪すぎて。死んでも最低最悪すぎて悔しくて涙止まらなかった。
ベスの「どんな人間になるか決めるのは自分で他人じゃないと言ったのは嘘?あの言葉が私の人生を変えた。なのに伯父さんは他人が認めないとダメなの?」って言葉がすごく好きで心に刺さる。

最初は家族親戚の中心人物が父親だったのが、ラストではフランクが中心になってる。父親は家族の膿だったんだな。
何故か無理矢理にでも親に認めてもらわないといけないかのような、和解しないといけないかのような“血縁の押し付け”の多いこと多いこと。そして今まで散々なことを言ったりやったりしてきたクソ親が何故かラストには(よくあるのは病気とかで)途端に優しくなって、主人公も許して、今までのことは全部チャラ。ハイめでたしめでたし。…っていうクソみたいな綺麗事には本っっっっっ当に感情移入できないので、この作品はそうじゃなくて父親がいなくなって丸く収まったのはよかった。
…けど、よかったと思う反面、結局家族っていう枠組みには落ち着いちゃうんだなっていうのはある。
理解が広がってきたのは本当に最近になってからようやく…って感じなのに、70年代で、家族や親戚の中で、お父さん一人いなくなったくらいでそんなに上手くいくかなあっていうのは少し現実味がない気もする。
そしてフランクはともかく、ベスの居場所もそこでいいのか…?
もし家族を再定義する方向に行ってたら文句なしでオールタイムベストに入るくらいの感じではあったのだけど。。
まあそれでもそこまでうんとモヤモヤしてるわけではなくて、それもあのラストは家族に認められたというよりもフランク自身が自分を認められた瞬間だったんだと思うから。
茱萸

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