鈴木孝正

キネマの神様の鈴木孝正のレビュー・感想・評価

キネマの神様(2021年製作の映画)
3.3
山田洋次監督の作品ということで、劇場は老若男女に溢れていました。以前から監督の作品を好んで見にきてる人や、若手俳優が好きで見にきてる人など、文字通りここまでカオスな雰囲気で見た作品はなかなかありません。
内容としては現代パートと過去パートに分けて伝える必要がありますが、個人的には過去パートは及第点でした。「男はつらいよ」シリーズをはじめ、あの時代を表現するのであれば適切な配役と展開と構成だったと振り返ります。もちろん、個人的な好みもありますが、中でも永野芽郁さんの立ち振る舞いなどは寅さんのところでいうヒロインを演じられていてとても良かったです。あと野田洋次郎さんもいい味出してました。菅田将暉さんは言わずもがな安定の演技で、花束の時も触れましたが表情だけで伝えるというのは本当にすごいと思います。うる覚えで大変恐縮ですが、7割伝えて10割理解してもらうみたいな表現が劇中にありましたが、まさにそれを体現されていましたね。一方、現代パートはガタッとクオリティが下がります。うまくコロナのことも伝えたかったんだと思いますがそれもうまくはまらず、最後の結びの部分も中途半端に感じました。志村けんさんのこともありますのであまり多くは語れないですが、逆の意味で過去とコントラストが良くなかったです。ジュリーが要所要所志村けんさんに寄せてる感じも賛否が分かれそうだと思いますが、それにしても総じて125分は長いです。
長々と書いてしまいましたが、過去パートはオススメです。
鈴木孝正

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