キューブ

ライムライトのキューブのレビュー・感想・評価

ライムライト(1952年製作の映画)
4.5
 「ライムライト」はチャップリン自身の半生がモデルだ(当の本人は結局最後まで有名人だったが)。もしかしたらチャップリンは自分の衰えを感じていたのかもしれないが、映画自体は60年たった今でも最高に楽しく、そして悲しい。
 老いさらばえたコメディアンが希望を無くした娘を助け、今度は逆に自分が落ちぶれていきその娘は大成功を遂げる。構成としては今年度初頭に見た「イリュージョニスト」によく似ている。カルベロはテリーに人生の楽しさを説くが、当の自分は舞台に立つことを恐れ怠惰な生活を送っている。だからテリーの成功を喜ぶ反面、余計に自分の失敗を気にするようになる。このキャラクターが持つジレンマこそがチャップリンの持ち味だろう。「放浪者」としての顔ではなく、初めて「チャールズ・チャップリン」の素顔をさらけ出し今までの作品よりもリアルだ。
 素晴らしい映画は絶対に衰えないことを「ライムライト」は証明した。
(12年1月8日 TOHO梅田 4.5点)
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