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ザ・バンド かつて僕らは兄弟だったのsanchangのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

リーダー格のロビーロバートソン語りの映画。The Bandの結成〜ラストワルツまでの期間を描く。5人で暮らしたウッドストックでの生活。彼らはまるで兄弟のように互いや互いの家族を思いやり、深い絆で結ばれ、音楽活動に勤しんでいた。
ロビーロバートソンが書いた曲をみんなでセッションしてアレンジしていく。特に20世紀最高の曲(と思っている)「The Weight」誕生の瞬間の演出は白眉で鳥肌が立った。しかしそんな幸せな日々は永遠には続かず。ロビーロバートソン語りによれば彼以外のメンバーはドラッグにハマり、交通事故を起こし、少しずつ歯車が狂っていく。そんなバンドの末期の頃、ロビーは大物ゲストを呼んで「Last Waltz」を企画する。結果的には彼らの最後のライブとなり、音楽ドキュメンタリー映画としても最高の一つとなった。しかし、ドラムのリヴォンヘルムによると、ロビーとそれ以外のメンバーでは「Last Waltz」に対する考え方には温度差があり、活動に対してもスタジオ録音かライブ活動かで意見の相違があったとのこと。83年には、The Bandがロビー抜きで再結成している。その点からも、この映画はあくまでロビー視点で描かれており、ロビーから他メンバーに対する謝罪や言い訳のようにも見える。かつてのウッドストックでの共同生活の美しさに比べ、そんな映画を作らなければならなくなったことが切ない。テーマ曲である、「かつて僕らは兄弟だった」が悲しく響く。
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