慢性眼精疲労でおます

なぜ君は総理大臣になれないのかの慢性眼精疲労でおますのレビュー・感想・評価

2.5
車谷浩司みたいな顔と声を持つ童顔議員の悲喜こもごもを収めたドキュメンタリー。井出英策アジうまい。内輪向けの内容ではあったけど、もっとたくさんの人向けにあれをできたら強いだろうなと思った。それが2017年10月の衆議院議員総選挙、本作のハイライトの始まりだった。

こういうドキュメンタリーを見るにつけ、選挙ってナンセンスだと思う。家族総出で街へ繰り出して声を枯らして当選させてくださいと頭を下げることで何がわかるのか。小川さんは自転車だからマシだけど、選挙カーなんてうるさいだけだし。今さらポスターだって必要ない。

プロアスリートの世界ではスポーツの実力で代表を選ぶように、政界でも政治手腕で議員を選べばいい。そしてその政治手腕の中に、選挙で勝つためだけの力が入らないようになるといい。

でもそうはならないので、小川さんが政策に掲げる通り、公開討論会を大いにやって、それを見て判断すればいい。政策立案が得意なのか、外交ができるのか、野次を飛ばすしかできないのかを白日の元に晒せばいい。しかし、有権者もまともな頭を持ってないといけない。要はそこが一番問題なのかも。

それにしても、小川さんもいい人そうだけど、秘書のみなさんもいい人そうだし娘2人もしっかりしてる。娘がしっかりしてるってことはちゃんと教育してるっていうこと。つまり奥さん含め家庭内も普通。こんな人達が雁首揃えて事務所をやっているのは驚きだった。

僕が昔インターンで某衆議院議員の秘書を手伝った時はほぼ任侠の世界でこんなのやってられないなと思った。議員本人ときたら学生の僕の顔を見るなり「お前1,500万円集めてこい。そしたら雇ってやってもいい」とかましてきた。好意的に解釈すると、1,500万円さえ用意すればゆくゆくはお前を選挙で当選させてやるぞ、金以外のことは任せとけ、という趣旨のオファーだったんだけど、当時はロクなもんじゃないなと思ったし、今も思う。何にせよ選挙で勝たないと始まらないってこと。

だから議員事務所ってだいたいそんな感じなのかなと思っていたのにそうでもないらしい。

小川さんのWebサイトを見た。統計王子として華々しくバズった後の今も、そこにはまだ、井出が「私の知る普段の小川順也ではない」と揶揄した悲壮感に満ちた顔写真がある。