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セイント・フランシスのEllyのレビュー・感想・評価

セイント・フランシス(2019年製作の映画)
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この身体に生まれたからには捨てるわけにいかない、付き合っていかなければいけない、わかってはいるけど不満を感じるし、面倒くさいし、疲れるし、だるい。こういう普段は態度に出せない感情を包み隠さず見せてくれる物語でとっても良かった。

同じ身体を持つ者同士での繋がりというのは確実にあるし、ブリジットをからかっていたフランシスにもいつか自分の身体が嫌になる日が来るのかもしれないと思うと、複雑な気持ちになる。それでも二人の母やブリジットのような信頼できる人たちの助けを借りて生きていけるといい。

ブリジットがジェイスに留守番で残そうとした「病院に付き添ってくれたけど、実際に痛い思いをするのは私だけだし」という言葉が物凄く腑に落ちた。同じ時期に公開されていた「わたしは最悪。」や「17歳の瞳に映る世界」でも感じていたけど、妊娠という現象はどれだけ平等にしようとしたって無理だし、女性に痛みや責任や迷いがどうしたって偏るし、本当に非対称で歯痒い。

タイトル、どうして洗礼後の呼び方なんだろうと思っていたけれど、告解室のシーンを見て、ブリジットは神様には心を開くことができなかったけど(彼は彼女を救わないから)、フランシスの言葉はブリジットを慰めて掬い上げてくれたから、彼女にとっての神はフランシスである、ということなのかなと思ったり。
ブリジットがあの家の人たちと出会ってくれて本当によかった。
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