おりく

海が青くなるまで泳ぐのおりくのレビュー・感想・評価

海が青くなるまで泳ぐ(2020年製作の映画)
3.5
中国の文学をもっと知っていたらより面白いんだろうな…
ドキュメンタリー(記録)映画という感じで、世代を分けて農業を扱った作家という視点から中国の農民の生活を口承で次世代で残す。

以下、QAの記録

Q.作品を撮ろうと思った理由
A.山西省の村に今住んでいる。生活が馴染み、文学の伝統があり、多くの作家(じゃがいも派と言うらしい)が住んでいたと知る。彼らの作品には農民の生活が描かれている。どう書かれたのかが気になった。
昨年、文学フェスティバルをはじめて開き、30数名の作家を呼んだ。「村から始まる文化」をテーマに、この地域の作家だけでなく全国の様々な場所から著名な作家を呼んだ。そして、山西省から全国に興味が広がった。1940年代以降の農村部の記憶を残したいと思った。村の記憶が薄れつつあるが、中国はもともと農業国家。農業をテーマにした文学がどのように始まったのか。

Q.タイトルの理由・タイトルをつけたタイミング
A.撮影の準備の段階では、「村の文学」と名前をつけていた。ゆうふあ?先生の最後のセリフを聞いて感動した。青くなるまで泳ぎ続けるというところに感動して、今のタイトルになった。編集のときに作家の話す地方都市の話を聞いている中で、まあほお、じゃんぴー、ゆうふあ、りゃんほん、と年代の異なる人たちがそれぞれの時代で向き合った問題、絶えず見つめてきた問題を文学にして、社会に根ざしてきたと感じた。それぞれが語ることに感動し、4世代に渡る話だと感じた。「愚公山を移す」という故事がある。息子とふたりそろって、ふたりだけだとその山は移せないが、世代を重ねていけば、理想は実現するという意味。海バージョンの「愚公山を移す」に繋がると思った。

Q.現代の中国の農村部から文学が生まれることはむずかしいのか?
A.今回の作品ではいわゆる80年代以降の若い世代をとりあげていないが、若者が農村に理解がないとは思ってない。ただ、今はどこも都市化が進んでいて、みんなの興味がそこにいってる。若い人の中で田舎に興味があり、そこを主として書いている人は少ない。撮影をしていて、田舎出身の暮らしを記録して理解してもらう事が大事だと思った。
りゃんほんの息子の存在。最後に彼を入れたのは、若い世代の代表として。彼らは知らないといけないが、知るすべがない。この記録によって知ることができる。

Q.今回はドキュメンタリーを撮ったが、ここから劇映画など次回の作品に繋がることはあるのか?
A.今回の作品は純粋にドキュメンタリーにおさめたいと思った。彼らの作品は映画がされた作品も多く、素晴らしい作品、映画にすることもできるが、語る人の視点として今回撮った。今回の作品を劇映画の長編に発展させていく予定はない。
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