ある日失踪した長男が殺人犯か被害者かどちらに転んでも最悪な展開の物語。
ただただ生きていて欲しいと思う母親と、息子を信じる父親。どちらの考えも正解でも不正解でもない。どちらの思いも痛いほど分かる。だから辛いのだろう。
私はこの息子はしていないのではないかと思う中、ナイフがなくなっていたのを見た時にどこかでやっぱり殺したのではないかと疑っていた。
第三者からみてもそう思うのだから、当事者は尚更疑うのではないか。
それなのにひたすら息子はしていないと言い切る父親。
なんでもいいから生きていて欲しいと願う母親。
母親の気持ちはわかるが、私はこの物語の父親のように、最後まで自分の子を信じられる親でいたい。こんな親になれるだろうか。
息子が亡くなってしまったとわかったとき、私は殺人犯じゃないのかほっとしたような悲しいような不思議な感情で涙が溢れた。
こんな感情は初めてだ。
夢のある少年がこんな形で亡くなってしまうのは本当に無念で苦しい。
そう考えると、両親が遊びに行く私に早く帰ってきなさいねと念押ししていた理由がわかる気がした。
いつかもし、自分が親になる日が来たときに、そして、この物語の長男くらいの年齢になったときにもう一度見たい映画。