福福吉吉

望みの福福吉吉のレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
4.0
◆あらすじ◆
幸せに暮らしていた4人家族だったが、高校1年の息子が家を出たまま帰ってこなくなった。そして、息子の友人が何者かに殺害されて発見され、息子がその事件に関わっている可能性があり、マスコミやネットに無責任な言葉があふれ、残る家族に襲いかかる。

◆感想◆
父(堤真一)、母(石田ゆり子)、高校1年の息子の規士(岡田健史)、中学3年生の娘の雅という家族がマスコミやネットに翻弄される姿を描いており、人の悪意が鋭く突き刺さる中、家族の思いがすれ違っていく苦しさをこれでもかというほどに感じさせてきました。

本作のキー・パーソンである規士は、サッカーに熱心だったが負傷を機にサッカーを諦めることになり、気持ちが塞がっている姿が描かれており、挫折により非行に走るような雰囲気を醸していました。この雰囲気が残る3人の家族に疑惑を生んでおり、話の展開は上手かったです。

規士が行方不明になり、殺人事件の関与が疑われ始めてからが地獄でした。息子の無実を信じたい父、とにかく息子が生きていて欲しい母、高校受験を前に苦境に立たされる娘の雅とそれぞれの心情が痛いほど伝わってきました。特に加害者でも良いから生きていて欲しいと切望する母の姿はとても心に突き刺さりました。

そして、何も分からない時点でも平気で加害者のレッテルを張りつけようとするマスコミやネットの無責任さはフィクションだとしてもやはり腹が立つ。特にネット情報の異常な速さは腹が立つのを越えて怖さを感じる。誰でも犯人に仕立て上げられそうです。

かなり重厚なドラマで観終って疲れましたが、心情の伝わってくる良い作品でした。

鑑賞日:2023年10月18日
鑑賞方法:CS チャンネルNECO
福福吉吉

福福吉吉