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望みのsekiのレビュー・感想・評価

望み(2020年製作の映画)
3.4
犯罪者かもしれないけど生きていてほしいという望みと、殺されているかもしれないけど無実であってほしいという望み。
規士への想いはそれぞれ違っても、登場人物みんなが規士という存在に望みをかけてた。
静かに揺れ動く気持ちの変化を少し丁寧すぎるほど捉えていて、想像以上に物語も台詞も繊細な作品だった。

マスコミの過剰な報道、SNSでの誹謗中傷、少年法などの社会問題に偏りすぎず、しっかり主軸である家族というテーマを描いていてくれている点は、この作品に最も強く求めていた点でもあったので非常に好印象でした。

照明といい、カメラワークといい、非常に堤幸彦感溢れてました。私は特に堤幸彦といえば、神の目線のような空撮!と勝手に思っていますが、今回の空撮は規士自身を表現したカットだったんだなと勝手に思っています。テレビ番組で最後のカットを見てほしいと言っていた岡田くんの言う通り、何とも切ない空撮でした。

今回、石田ゆりこが市毛良枝の料理を食べるシーンが非常に良かった。母の強さと偉大さが伝わってグッとくるシーンになっていました。

観終わった後、この家族が規士へ抱いていた望みは、この家族を幸せにしたのか考えてしまった。ただひとつ確かなことは規士の望みが家族の心を救ったということ。
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