吉田恵輔という監督はすごい。自作脚本でこんな作品を生み出してしまうなんて。
ヒメアノ〜ルの時にも感じたことだけれど、ぞっとするその感じが決して非日常的なことではないことに気付かされてさらにぞっとする。
私たちは常に誰かを見ている代わりに、常に誰かに見られている。
認識され、印象づけられている。
映画を見る/見られる関係性の切り返しが観客の我々にも急に跳ね返ってくる。
社会における自分って大丈夫だっけ？と、かなり不安にさせられる。
※ちょっとネタバレします※
この作品は中盤に、この世の中に生み出された映画の中でも最高レベルに最低なキスシーンがある。私は思わずスクリーンから目を逸らした。
そこからしばらく続く最低な流れから終盤にかけての回復力がとんでもなく、タイトルの意味が落ちる。またその「空白」がすっと埋まり、だからこそエンディングで流れる世武裕子のオリジナル楽曲が沁みて仕方がない。
心の中で喝采が起きた。
ちなみに冒頭の事故シーンは国道沿いを歩くたびに思い出すトラウマレベルです。それくらいにリアル(交通事故現場見たことないけど)
無理な横断はやめましょう…
今年は圧倒的に劇場で鑑賞する機会が減っているけど、プロミシングヤングウーマンと並び、劇場ってやっぱりいいなと思う作品にまた出会えた。
