やっぱりカルカン

アイヌモシリのやっぱりカルカンのレビュー・感想・評価

アイヌモシリ(2020年製作の映画)
2.8
ゴールデンカムイをきっかけに興味を持ち、2022年6月1日 26:34~28:09 日本テレビ(関東ローカル)で地上波初放送されたものの録画を視聴。

実際のアイヌの人がアイヌ役を演じた映画。
主人公の下倉幹人君もアイヌの血を引く子で、昔の柳楽優弥君のようなキリッとした力強い目に引き込まれる。
元々俳優さんではない方もいらっしゃるためか、台詞の間が独特だったり、所々アドリブもあるのかとても生き生きした自然な会話だったり、日常生活を覗き見ているような、ドキュメンタリーのような、不思議な感覚の映画だった。
今のアイヌの方々が普段どんな生活をされているのかが知れて興味深かった。ギターや車など現代の文化と昔からのアイヌ文化が融合していて、大人たちがアイヌ文化を忘れないように、後世に伝えようとする一方で主人公の子は365日アイヌ・アイヌ・アイヌの毎日にうんざりし、進学を機に生まれ育ったこの土地から離れたいと考えている。

セリフがそんなにたくさんある訳ではなく、阿寒湖畔の夏・秋・冬の綺麗な風景やアイヌの踊り、暮らし、歌と音楽がふんだんに盛り込まれている。主人公の幹人君と母親役の下倉絵美さんは本当の親子ということで、時折見せる自然な掛け合いと表情には頬が緩んだ。

動物愛護団体からの批判を恐れてか、エンドロールに「映画の製作にあたってはいかなる動物にも危害を加えておりません」といった旨のテロップあり。嫌な世の中になりましたな。

楽しくて元気が出るストーリーではなく少し悲しい・複雑な部分があり、見終わったあと晴れやかな気分にならない。何回も繰り返し見たいとは思わなかったので低めの評価とした。
貴重な映像が見れた、勉強になった、資料としても優れた作品だとは思うが、エンターテイメントとして見るとなんとも言えない微妙なところ。嫌いではないのですが…ごめんなさい。でも見れてよかったです。日テレさん放送して頂きありがとうございました。