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Swallow/スワロウのfukaのレビュー・感想・評価

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)
3.8
経済的に恵まれた生活を送りながらも、自分が子どもを産むための道具のように扱われ、空っぽで虚しい違和感を抱えているハンターにとって、唯一生きている実感を持てるような、自分が何かを成し遂げたような快感を得られるような"異物を飲み込み、排泄し、コレクションする"という行為。途中までは共感できず、ハンターの恍惚とした表情についていけなかったが、ハンターの出生の秘密や家族から抑圧された様子、女性としての苦悩が見えてくるうちに、少しずつ自分ごとになっていくように感じた。
宗教観や家族観、他人の家庭に入り主婦になるということ、妊娠と出産、自分の存在の不確かさ、それらにまつわる摩擦が描かれていて、一見現実離れした物語に見えて誰にとっても身近なテーマが扱われていた。
家を飛び出し、レイプ犯の父と話し合った後、ハンターが1人きりで子どもを堕ろしたシーンは、自分が背負わされてきたしがらみから解放され1人の人間としてまた歩き始めたように見えてよかった。

隅から隅まで小物や衣装や構図の色彩が美しく、ずっと絵画を眺めているかのような綺麗な映像だった。
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