マーフィー

ハンディキャップ・キャンプ: 障がい者運動の夜明けのマーフィーのレビュー・感想・評価

4.0
2024/05/15鑑賞。

1970年代アメリカの障害者運動を振り返るドキュメンタリー。
思い出話を聞くだけの前半の蓄積が
中盤からの活動に感情移入しやすい要因になっていると思った。

相手が「ベビーシッターみたいに振る舞わない」というのは障害者の権利を考える上で本当に大事なことで、
本人を自立した対等な人間として扱わない「潜在的な無礼」が露呈してるかどうかの指標になると思う。
少し逸れるけど、日本においてヘルパー付きで障害者が買い物をした時に、お店の人が「袋はいりますか?」みたいな質問を本人ではなくヘルパーにする、みたいなのも、これと近いものだと思う。
無意識に意思の表出できる人間として認めてないんだろうなと思う。
ラストシーンで「バリアフリーのトイレが当たり前になるまで真の平等は訪れない」言っていたけど、
配慮はスタートであり、そういう態度がマジョリティの中で当然のものとして価値形成されることがゴール。
「配慮」と思われてる間はまだまだ平等ではないんだろう。


「私は体が不自由になった時 自尊心を失いかけてた
でも公民権運動が“私には価値がある”と教えてくれた」という言葉からは、感動するとともに、
障害者が「社会のお荷物」「生産性の低い存在」と社会から疎外感を受け続けるこの世界において
障害者が「自分が価値ある存在である」ことを感じることの難しさが浮き彫りになっていると思うし、
現代でもこの問題は重くのしかかっていると思う。
SNSでむき出しの悪意を目にする機会が増えた現代においては、むしろ当時以上に自尊心を保つことが難しいのではないかとすら思う。



本作で言及されるアメリカでの活動が1970年代、
日本の青い芝の会が激しい活動をし始めるのはそれより少し早いので、
どちらがどちらを参考に、というより同時多発的に起きたムーブメントという点は感慨深い。

参考
https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n373/n373009.html
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