スティーブ・ブシェミが若い!しかもイケメン!
エイズが助からない死の病だった時代のLGBTQコミュニティを取り扱ったロムコム。監督のビル・シャーウッドも本作製作の4年後にエイズの合併症で亡くなっている。
ブルックリンに住むロバートとマイケルは仲の良いゲイカップル。ガーナへの長期出張を明日に控えたロバートが旅立つまでの2日間を、マイケルの視点で描いている。
マイケルと一緒にロバートの上司宅で夕食をご馳走になった後、二人の友人でアーティストのジョアンが開催するロバートの送別会に参加する。マイケルはロバートと仲が悪くはないが、精神的には元恋人でエイズに感染したニックをまだ愛している。一方、ロバートの方でもガーナへの転勤は自分から願い出た事だと言い出し…
映画全体をエイズが被覆しているにも関わらず、病気や性的指向の苦悩といった描写は見せない。ブシェミが時々見せる死への恐怖すら、クリスマスキャロルのマーレイのような諧謔で包んでしまうDopeな作劇。それだけに、これから待つ運命に抗おうとするニックが余りにも辛く切ない。
この時代のゲイが登場する映画というと、大概は社会的な偏見と戦うポリティカルな文脈や、或いは逆に理解し難い物への融和と受容という内容になりそうな所を、1986年の映画としては驚くほど自然にゲイカップルの日常を描いているのが新鮮。
この頃にはTwinkって表現もうあったんだ。Twinkieなブシェミが若者にTwinkie言うのと、マイケルの家にペナントみたいに飾られている鯉のぼりは笑った。
自主制作映画な上に、監督が長編はこれ1作で亡くなってしまったので全然知名度がないのだが、もっと評価されて然るべき作品。