ちゃこ

タイガーテール -ある家族の記憶-のちゃこのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

過去の思い出にぽっかりと穴があいたような、虚無に陥るおじさんの話。
よくヒットする映画のようなわかりやすい展開、衝撃のクライマックス、うっとりする色恋、みたいなものではなかったけど個人的にはすごく好みだった。登場人物のセリフがうるさすぎず、おじさんの懐古ベースで進んでいくから疲れない。1時間半とわりとサクッとみれたのもよかったのかもしれない。
おじさんは、離婚の時にはちょっとモラハラまがいなことも言ってたけれど、夢のために地道に努力し、ユエンのことは念頭にありつつもきちんとした生活を築き上げ、祖母に言われたように強く生きていたなあと思った。たぶんありがち映画ならおじさんはユエンと再会してどうにかなっちゃってたけど、それもない。よかった。
「共感」という類の感情ではないのだけど、母が亡くなったこと、ユエンとの別れと引き換えに手に入れ築き上げた嫁とのアメリカ生活の終わり、おじさんが娘との距離を縮め二人で台湾に行きくたびれた実家を目にした瞬間、節々でおじさんの心にぽっかりとあいた切ない隙間を汲み取るたびにこちらまで悲しい気持ちになった。
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