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そこにある環境レイシズムのシローのレビュー・感想・評価

そこにある環境レイシズム(2019年製作の映画)
4.0
カナダ、ノバスコシア州での環境問題を取り扱ったドキュメンタリー。黒人や土着民の住む地域にゴミや公害施設が集中する環境レイシズム。この言葉は初めて知った。なかなか見えづらい問題の数々がそこにあって言葉を失う。

科学や経済の発展で、我々の生活が便利で豊かになる一方で、その代償を払っている面を考えなくてはならない。企業の出すゴミや廃水を押し付けられ、甚大な健康被害(地域によって健康度合いが顕著だというのは驚いた)を被ったり、その土地を支えてきた自然を破壊されたりすることが、いまこの瞬間にも起こっている。

「カナダは国じゃない、企業だ」と憤る女性の声。それは決して遠い世界のことでもなくて。我々の慣れ親しんだ故郷や、さも当たり前のように存在している水や空気が、金によって奪われかねない状況にあるということ。「水を金貨に換えても、金貨は飲めない」。「一度失ったものは返せない」。きっと従うばかりじゃ守れないんだろうなぁ。学び理解し、声を上げて抵抗する意志と勇気。彼女たちの活動から学べることは多かった。

環境問題はその当事者になって、ある程度の被害を受けないとなかなか意識化できない部分があると思う。実際、政府や企業側もその土地で生きている人ではないし、現地の声はなかなかリアリティをもって感ずることができない。劣悪な環境を強いられる住民たちの声に、どれだけ寄り添えるか。もっと勉強することがあるということに気付かされた作品だった。エリオットペイジってこういう活動もしてたんだなぁ。
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