misoni

恋する寄生虫のmisoniのレビュー・感想・評価

恋する寄生虫(2021年製作の映画)
3.4
 WOWOWで放送あったので二回目の視聴。やっぱり初見と感想変わらないな。
主演の役者のお二方が好きで原作先に読んでから見たが、原作があまりにも素晴らしかったのでとても期待していた。しかし見てのとおりラストシーンの大幅な改変があり心底がっかりした。
「死」と正面から向き合い続ける原作の、あの絶望的なラストシーンだから素晴らしい作品ではないのか。幸せに締めくくるのがハッピーエンドで、絶望的なラストはハッピーエンドとは言えないのか?それは余りに感性が乏し過ぎないか。原作のラストシーンに忠実に作れないなら映像化するべきでは無かっただろう。
あのラストシーンに変えるようにどこかから圧力でもかかったのか?と思わざるを得ないほどあのクリスマスツリーのラストシーンでのこっぱずかしい台詞達。最悪。
なんだか原作者にも原作ファンにも申し訳ない気持ちになってくる…… 
映像のセンスは良いのにね。

以下初見時の感想(ほぼ変わらず)↓↓

役者、映像、演出、照明、音楽全て良し。
なのにスコア5を付けられなかったのはラストシーン改編のため。

高坂の潔癖や佐薙の視線恐怖を主観的目線で可視化していたのは非常に良かった。こういう所に映像化する意義を感じる。
小松菜奈は本当にスクリーン映えするし画面が一気にスタイリッシュでオシャレになる。音楽をバックに歩く彼女のシーンはランウェイみたい。
小松菜奈の存在感に林遣都が少し押され気味な気がしなくもないが、こういう生きづらさを抱える孤独な役はやはり彼にぴったりだと思う。
井浦新が想像以上に多く登場した、彼もこういう謎な役にぴったり。惚れそうな位素敵だった。

注 以下ネタバレ
↓↓↓↓
この物語って前提として死が全体を覆ってる雰囲気があり主人公のふたりがいつもそれを意識し、最後までそれを引き摺っていくからこそ魅力的だったはずなのに肝心のラストシーンを大幅に変えてしまうとは… 事前に監督のインタビューを読んでストーリーやラストを改編したことは知っていたとはいえ実際にラストシーンを見て、あぁここまでは本当に完璧だったのにとがっかりした。

ラストシーンだけなんだか違う映画を見てるようなテイストになってしまい、そこまでは高坂や佐薙の台詞のやり取りにどこも違和感を覚えなかったがラストシーンでの会話が陳腐というかダサすぎてそこだけで脚本家の力量を疑ってしまった。

このラストシーンに変えることに、誰も異議を唱えなかったのだろうか。というか何故原作と真逆のハッピーエンドにしないといけないんですかね?
あのラストのせいで最初や中盤に私たちが彼らに寄り添って見てきたものは何だったのだろう?の虚しい気持ちなる。
お願いだから原作があって高く評価されてる作品の大事な部分は変えないで欲しい。それ自体が素晴らしいのだから。
このラストシーンでなく原作のまま映像化されたらどんな名作になっただろうと思う。きっと何度も映画館に通っただろう。それ位この映画自体は素晴らしい。オリジナルにしてしまったラストシーンだけが残念な部分です、それ意外はとても好きです。
misoni

misoni