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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのtokoのレビュー・感想・評価

5.0
大大大好きな青春映画になりました。

今まで観た中でも1番に好きかもしれない。ガリ勉で友達のいない女の子が、ひょんな事からアメフト選手の男の子のラブレターを代筆する事になって…ってストーリーはよくありそうな気がして、こういう学園ドラマはもう見飽きたよーと思って暫く手をつけてなかったんですけど、なんて私は馬鹿だったんだろう。そんな話じゃ全くありませんでした。今まで見たことなかった展開にワクワクしたし、こういう作品が当たり前に作られるようになった事がとても嬉しい。Netflixのオリジナル作品って本当に優秀…。日本の大衆映画やドラマもこのくらいの水準にならないものかな…。貞操観念とか二重規範とか当たり前に打ち壊してる作品。

エリーのお父さんがリビングで映画を観ながら言う“best Part“って台詞が印象的で、この映画にその“best Part“は二度あったのが最高すぎた。どちらのラブシーンも本当にグッときた。思い返すたびに幸せな気持ちになれるようなシーン。

前日に「スポットライト」を観たせいもきっとあるけれど、エリーの人間性に惹かれてだんだんと仲良くなって、彼女のルーツが中国だとかイケてないとかそんなつまらない偏見を全く持っていなかったポールが、振られて傷ついてたとはいえ、“同姓が好きだなんて大罪だ、地獄に落ちる…“ なんて口走ってしまうシーンを観た時に、これだから宗教って嫌なんだよって心底思いました。彼自身が1番、何にも囚われず、純粋にエリーって1人の人間に向き合ってたはずなのに……思い出したように発せられた、植え付けられた価値観が露呈してしまうのが悲しかったです。
ただ、こういうテーマ、描写を皆んなが笑って楽しめるラブコメに大事な要素の1つとして加えてくるところがまた秀逸。アリス・ウーさん、これから追っていく事になりそう。

「日の名残り」も読みたいなぁ。

大好きな作品になりました。
またきっと観る。
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