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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれからのぴぴぴんのレビュー・感想・評価

4.4
自分の好きな相手へのラブレターの代筆を頼まれたエリーと頼んだポール、そして2人の意中の相手のアスターのお話。

NetflixではLGBTQのお話、というタグ付けがされていたけど、それだけのお話ではなかったかなと思いました。
この物語は地方の宗教に強く影響された価値観、それから哲学の引用、等兎に角「誰かの言葉」「誰かによる定義」がよく出てきます。ひと昔前は「恋愛の好き」が宗教なりなんなり一つの価値観に固定されていて、それ以外の愛の形は恋愛ではない、と否定されてきたかもしれない。けれど、このお話にある通り、今って宗教にしろそれ以外の考えにしろ、何を信じるか誰の言葉を信じるかを選べる範囲が広がっていて、それが愛の形の多様化にも繋がっている。どの”愛”や”好き”を「恋愛の好き」と定義するか人それぞれに任されていて、それが結果としてLGBTQという言葉として表れてきたりしているんじゃないかな、と思いました。だからエリーの言う通り愛はselfishだしbold(日本語訳は大胆、になっていたけれどそれ以外でも勇敢とか厚かましいとかそんな意味もある)、ってことなのかな...と。

前半本当にだめだめやん!と思ってたエリーのお父さんがふと語った、その人にありのままでいてほしいと思える好き、だったかな、それが素敵だなぁと思いました。