Sunny

TITANE/チタンのSunnyのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
4.8
Filmarksオンライン試写会にて鑑賞。

交通事故により、幼少期に頭にチタンを埋め込むことになった主人公が、大人になりある種の理性を歪めていく日々の中、運命に流されて出会う、行方不明の息子を探す男との交流を描いた作品。

埋め込まれたチタンが身体に及ぼす影響を、自然に形成される人間性との境界を曖昧にしたままにしているあたりに、リアリティが出ていた。前半の暴力性と猟奇性溢れる数々には、観ているのが苦しくなり、何度も再生を止めて休んだが、この場面は、金属のように無機質なものを人間の側面として表現するには必要不可欠な描写であったと思う。劇場での鑑賞だったら、気を失っていたかもしれないけれど…。

それほどの描写があったからこそ、行方不明の息子を探す男との出会い以降のストーリーに大きな役割と重い意味を持たせていたように感じられて、うまく考えられた構成だった。
人間は結局のところ、良くも悪くも人間によって変えられてしまうもので、なにが起きたとしても、心を素直に開ける相手に出会った時に居場所というものを見つけられるのだろう。人と人の関係性だけではなく、そこに無機質なチタンというものを介入させたことで、そんなことを強く感じさせる作品になっていた。

映像もSF感のようなもののない、自然な一体感のある映像美があり、ストーリーと共に圧倒された。
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