たけちゃんまん

TITANE/チタンのたけちゃんまんのレビュー・感想・評価

TITANE/チタン(2021年製作の映画)
3.5
エログロキモゲボ映画でありながら人間讃歌を謳い、特に新新約時代とでもいうべきある種これからの人類の指針の在り方を提示してくるような力作。

生まれ、性、血縁、その他先天的なもの…すべてのデフォルト属性を越えうる愛の可能性

元々、気の食わないことがあるとシートベルトを外して己の思うがままに行動する生態であったアレクシア。
それがいつしか男性社会の締めつけに抗うこともなく無味乾燥とした生活を送っていた。
そしてストーカー事件を発端に原点回帰したかのように自己中心的になり、思い通りにいかないものを徹底排除する。
ただその破壊的衝動の中で身籠ってしまい、孤独で生きていく事が出来なくなる。
ド赤の他人と奇妙ながらにも通じ合い、後半のダンスシーンのように自分を曝け出しながらも相手を思いやる優しさを身につける成長譚としての側面も見受けられる。


女性は首絞めなどで殺す一方で男性を殺すときは棒的なもので刺そうとするし、ストーカーが白い液体をどぴゅどぴゅ出して死ぬのは皮肉。 
バスのシーンでは坊主だったので髪留めがなくて手を出せなかった。いわば武器がないと闘えないということ。
坊主の妊娠姿を見せることで男性にも妊娠の不気味な怖さ、得体の知れない何かが体内に生まれることの共感を促進させていた。

チタンは加工がしにくいとされているが、その丈夫さは折り紙つき。