常に主人公が変化、変形していく物語。髪型、容姿、ジェンダー、妊娠による形の変化。そしてその変化変形の原動は、「怒り」だ。
とにかく主人公が、物語自体が怒っている。
単純に性差、ルッキズム、マチズモ、もしかしたら、妊娠そのものに対する恐怖に似た怒りさえあるかもしれない。
性自認とそれに対する旧態依然とした社会通念への憤り、というのが表だったテーマではあると思うが、もっと根源的な、そもそも人間という殻の不自由さ、生きずらさへの嘆きでさえあると思う。
人間を超越したいというテーマで映画を撮るクローネンバーグと近いものを感じるが、本作は常に痛覚さえ感じるように痛みの表現が現実的で鋭利なので、いかにも映画的エクストリームなグロ表現のサービスが無いところに、いわゆるカルト的なジャンル分けをされることを拒否するかのようにストイックな作風が印象的だった。
と、真面目に考察しつつ、どうしても言いたい。ラストシーン、あの赤子の名前は「コンボイ」、これしかない。
トランスフォーム！！
