痛快ウキウキ通り

ザ・ファイブ・ブラッズの痛快ウキウキ通りのレビュー・感想・評価

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)
4.0

この時期にスパイク・リー監督の新作をNetflixで見れる幸せをまずは感謝したい。

レイシズムでは二項対立が起こりやすいが、スパイク・リー監督は常に第三者の目線から対立を俯瞰するという視点が面白い。

ベトナム戦争ではベトナムVSアメリカ(白人)がフォーカスされがちだが、作中でも語られていた通り、アメリカの人口の1割が黒人だが、戦争に動員された3割の兵士が黒人だったという事実から、ベトナム戦争を見ることができる。

さらに、黒人は被害を受けていただけではなく、ベトナム人を差別していたという事実をちゃんと伝えている点も素晴らしい。

しかし、後半少し失速してしまった印象。
白人VS黒人という二項対立の問題を第三者視点で描ける「ベトナム戦争」を描いているのに、いつもと同じ語り口になっている気がする。

ベトナム人や、地雷処理班の方達の思いをもう少し掘り下げた方が作品としての質やテーマとしての重厚感が出ると感じた。

ただ、エンターテイメントとして、前半のコメディーパート、後半の地雷処理、銃撃戦など面白いことには違いない。

ただ、「現在の情勢を考えたい」という思いで見るなら、他作品を見る方がいいと感じた。