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ザ・ファイブ・ブラッズのsheepmanのレビュー・感想・評価

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)
4.3
『ブラック・クランズマン』もそうだったが、スパイク・リーの近作に触れると過去と現在がまるでシームレスに接続されてしまったような感覚に陥る。
キング牧師の暗殺を知らせるラジオ放送にて、5人がハノイ・ハンナによるアメリカ兵への呼び掛けを聴く戦場の回想シーンがとても印象に残った。当時アメリカ全体の黒人の割合が全人口の11%ほどであったのに対し、ベトナム派遣兵における黒人の割合は32%を占めていたという。これは正しいことなのか?果たして黒人兵たちが忠誠を誓うべきは本当に「偉大なアメリカ」なのだろうか?そこで彼らは改めて社会構造の欺瞞に気がつき、心をひとつにする。
ベトナム戦争、映画『地獄の黙示録』、キング牧師、マーヴィン・ゲイから、トランプ政権、リアリティ・ショー、そして「ブラック・ライヴス・マター」へ……。本当にタイムリーなトピックであることに驚きつつ、この社会のこんがらがった複雑さについて改めて考えさせられる。今なお地続きに存在している問題だし、そこにノスタルジアが介在する余地は無い。
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