Sono

幸せのポートレートのSonoのレビュー・感想・評価

幸せのポートレート(2005年製作の映画)
3.7
他人の在り方を尊重し、差別や偏見なく受け入れることの大切さだけではなく、差別や偏見を持った人にどう接していけばいいかを考えさせられる作品。

ジャンルとしてはラブロマンスなので、
難しいテーマを扱ってはいるものの、堅苦しくない。
サラジェシカパーカーの変わらない美しさに羨ましさを感じつつ、中盤までなかなか主人公を好きになれない所も、この映画の面白い部分。
一般的な映画は主人公への感情移入があるけれど、
観ている誰もがヒロインに対して怒りを感じるはず!
しかし、そこで私がふと思ったのは、
「自分もこのヒロインのようになってはいないか」ということ。
無意識に誰かに対して「普通じゃない」「変」「おかしい」と言ってはいないかと不安になった。そして、自分がそんな心ない言葉をかけられたとき、傷ついたからといって攻撃的になってはいないか、と考えさせられた。

自分の普通を他人に当てはめてジャッジすることはもちろん正しいことではないし、相手に対する尊厳や思いやりのない行為だが、自分の知らない世界や物事への理解や承認がそういう間違いの経験から深まっていくのだとしたら、この映画に登場するキャラクターは全員、間違いのロールモデルとして捉えることができる。彼らの言動を自分に当てはめ、反省することができる。多様性に対する寛容とは、差別と理解、会話と議論から生まれるのではないだろうか。

もしあなたがそんな風にこの作品を観たとしたら、
この映画は単なるラブロマンスではなくなるだろう。
Sono

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