福福吉吉

スクープ・悪意の不在の福福吉吉のレビュー・感想・評価

スクープ・悪意の不在(1981年製作の映画)
3.0
◆あらすじ◆
マイアミの港湾の労働組合のリーダー・ディアスが失踪してから半年を経過するが、FBIは未だに解決の糸口さえ掴めずにいた。捜査官のローゼンは港湾で働くマイケル・ギャラガーを犯人に仕立て上げ、解決の突破口を開こうとする。ローゼンは新聞記者のミーガン・カーターが取材に来た際にマイケルが容疑者に見えるような文書を見せて、新聞にマイケルが容疑者という記事を掲載させる。全くの無実であるマイケルが白眼視され、仕事も上手くいかなくなってしまう。マイケルは情報元を探ろうとミーガンに接触するが...。

◆感想◆
情報操作による報道によって被害を受けるマイケルの戦いを描いた作品であり、報道関係者の言う「知る権利」の負の側面に焦点をあてています。

ストーリーはかなり重めなのですが、マイケルが精神的に強すぎるのか、淡々と話が進んでいきます。FBIが出演するシーンは緊迫感があるのですが、マイケルのシーンはあまり浮き沈みせず、あっさり終わった印象でした。

マイケル(ポール・ニューマン)は、ぶっきらぼうで少し強引な部分がありますが、酒の卸売業を営む真っ当な人物として描かれています。偽の報道で容疑者に仕立て上げられたマイケルは、記事を書いたミーガンと接触して状況を打開しようとするのですが、周囲に誤解を招きそうな行動を平気で行うので観ていてヒヤヒヤしました。いきなり船でミーガンを連れ去るのはどうかと思う。

本作のキー・パーソンである新聞記者のミーガン(サリー・フィールド)は、マイケルを容疑者に仕立て上げた人物ですが、それ以降、マイケルと交流を深め、なぜか恋仲になっていき、いまいちピンと来ませんでした。彼女は、報道として何を真実とすべきかという問題に直面する役割だと思うのですが、恋愛関係に発展してその辺りがうやむやになっている気がしました。

終盤の展開はなかなか秀逸なものになっていて、マイケルの立ち回りに感嘆しました。

かなり地味な作品ですが、普通に面白かったと思います。

鑑賞日:2023年8月24日
鑑賞方法:BS松竹東急
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