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ヤクザと家族 The Familyのgaruboruのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.5
最高だった。

『新聞記者』に続いて、この大傑作を連発できる藤井道人監督は間違いなく2020年代を代表する映画作家になりますね。86年生まれのまだ34歳というのもいい。
また、今まで『コウノドリ』とかドラマでは活躍していたものの、映画には傑作に恵まれなかった綾野剛の代表作になりますね。怪演すぎて、タイトルロールまで綾野剛だって気づかなかったくらい。


前半は『仁義なき戦い』に代表されるようなオーセンティックな任侠映画の良さをしっかり踏襲、どんだけ深作欣二や北野武が好きなんだ藤井監督よという最高の演出(菅原文太もびっくりの顔を見せる舘ひろしがかっこよすぎる・・・)を魅せたと思いきや、後半は2020年僕の中では最高の一本だった『WAVES』と同じ構造で、過去の罪を背負いつつ必死に生きようとする人たちの描き方が美しかった。
2019年は、裏で流れる音楽もBAD HOPのKawasaki DriftといったHip Hopにがっつり変わっていく姿で、2010年代の川崎を描く描写もさすがでした。

ちなみにテーマは全く違うものの『花束みたいな恋をした』と同様の構造で「変化しないもの(綾野剛・有村架純側) vs 変化していくもの(市原隼人や柴咲組の面々・菅田将暉側)」という対立を描いてるので共通点は盛りだくさんでした。変化していくものも、変化しないものも、それぞれの正義で生きてるんですよね。この2本が同時期に公開されたことは本当に素晴らしい、ある種COVID-19時代に、変わるものと変わらないものの対立構造が存在している時代を象徴する。
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