とにかく描写が上手い監督だと感じた。
何気ない所に階級の差を挟み込む感じ。ビールを乾杯する時のグラスの音の違いだったり、アイスのひと口の大きさだったり、喋り方一つ一つだったり。
貴族を批判するような色を持っている作品なのかなと思っていたけれど、「どんな人も、辛い日もあれば幸せなこともあるよ」っていう優しい優しいメッセージを感じる作品だった。
女性が独立していく過程の描き方(これに関しては原作に対しての賞賛かもだけど)が素晴らしい。日本の伝統における性差が物凄くナチュラルに溶け込んでるし、直接的に言語で伝えるというよりも、雰囲気だったり無意識下における行動で現れているのに感激した。
水原希子の役と、門脇麦の役がバチバチになるような展開かと思ったらそんなこと無くて、むしろ支え合う(？)ような関係性である所もこの作品においてかなり重要な部分だと思う。「男のために対立する女」の構造を、見事な方法で(それも破壊的ではない方法で)打ち砕いたと思う。
あと演者がみんなみんな最高に上手。キャスティング素晴らしい。
割と深いテーマなのに胃もたれしないのは、この作品に温かさが伴っているからだと思う。何回でもみれそう。
素晴らしい素晴らしい。
