ありあまる富

あのこは貴族のありあまる富のレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
4.2
中流階級と上流階級の間の目に見えない格差
違う階層の登場人物同士が偶然出会うことで自分の生き方を相対化し、問い直し始める……。みたいな話

閉鎖的なコミュニティを描く作品って個人的に好みなんだけど、これに関しては自分が所属してるコミュニティの実情が暴かれた感じがして観ていてしんどすぎた(自分は時岡さんの地元のシーンと境遇が似ていた)
とはいえ、上流階級の人々の会話も身に覚えのある内容は多々あり、辛い
タクシーでの別れ際「体を温めてね」みたいな台詞に象徴される旧時代の価値観、グロテスクすぎる

二つの閉鎖的なコミュニティが対比されることで各々の境遇の特異性が浮き彫りになるという狙いがビシッとハマっていて、特別な事件が起きなくてもずっとスリリング

印象に残る場面も非常に多かった
都心部で2ケツするシーンは心抉られる
カフェの勧誘のシーンも出来事自体は都内で1日1000件くらいありそうな話んだけど、あんなに上品に気持ちいい物語の転換点に仕上げるのすごい
手を振る仕草の変化、最高
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