R

タミー・フェイの瞳のRのネタバレレビュー・内容・結末

タミー・フェイの瞳(2021年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2021年のアメリカの作品。

監督は「ビッグ・シック ぼくたちの大いなるめざめ」のマイケル・ショウォルター。

あらすじ

1970年から80年代にかけてアメリカで大きな成功を収めたテレビ伝道師タミー・フェイ(ジェシカ・チャスティン「グッド・ナース」)とジム・ベイカー(アンドリュー・ガーフィールド「tick,tick…BOOM!チック、チック…ブーン!」)の波瀾万丈の人生をタミーの視点で描く。

ディズニープラスにて、無作為に選んだ中から。

前々からディズニープラスの映画のラインナップを見ていて、サムネの主人公の女性が両手を掲げているようなポーズの写真がどういう話なんだろ?と思って気になっていたんだけど、今回無作為に選んだ中で当たってしまったので鑑賞しました。

お話はあらすじの通り、70年代から80年代にかけてテレビで活躍していた実在の伝道師夫婦が主役のお話。

伝道師というと、宗教に馴染みのない俺は昔小学校でザビエルを習った時くらいしかあんまりよくわかってない言葉だったけど、どうやら宗教の教義を伝え広める人ということらしい。で、実際にこの年代には宗教独自のチャンネルみたいなものがアメリカにあって、様々なアプローチでキリスト教を広めたりして視聴者数を競い合っていたらしい。

で、主役のタミー・フェイを演じたのは今や演技派のジェシカ・チャスティン。「ヘルプ〜心がつなぐストーリー〜」)くらいの時からその作品選びには定評があって、メキメキと実力をつけてきた女優さんだけど、今作では割とクールビューティーなイメージをかなぐり捨てた変な笑い声の割とブリブリな女性を演じている。しかも、特殊メイクかほっぺに綿を詰めているのかわからないけど、なんか顔立ちも違くてマジで全然別の人みたい。しかも、後年にかけてどんどん化粧が濃くなって、まるでIKKOさんのような厚化粧になっていくのでこれはこれで一見の価値あり。

また、タミーの夫のジムを演じるのはこれまた二代目スパイディーの躍進から若手実力派(と言ってもまぁもう中堅クラスか)のアンドリュー・ガーフィールド。彼もまたいつもの顔とちょっと違うように見えるのは気のせいか?まぁ元々ぷっくりした顔してるが。

で、そんな夫婦、大学?時代に宗教の講義で知り合い、意気投合、そのまま大学を辞めて若気の至りで宗教を広めることになる。元々弁が立つジムとお手製のブタの人形「ベティーちゃん」を作って人形劇風にジムとの掛け合いをする、まるでNHK教育テレビの一環のようなテイストのわかりやすさがウケて、少しずつ認められていき、その中で今度はタミーの美しい歌声も賞賛され、番組が絶大な人気を博すことでグイグイ成り上がっていくんだけど、やはりこの手の映画、どんどんタミーとジムの関係性が悪くなっていく。献金がどんどん募り始めたことでジムの強欲っぷりが肥大化していき、家庭を顧みなくなっていくと、その中でタミーと組んでいた作曲家のイケメンとタミーが恋仲になっていき、第二子妊娠中のタイミングで浮気、そのまま破水してしまったことで浮気がジムにばれて、そのイケメンは半ば強引に解雇され、更に険悪になっていく。

ここら辺のジムの神を傘に着せたパワハラ気質な物言いとそれを受けて、弱々しさを見せるタミーを演じた2人の俳優陣の熱演がまた凄い。

で、そのうちに今度はジムの浮気が自白により発覚、加えて、そのお相手の女性との示談金を献金から出していたことが発覚したことから、それまで様々な部分で献金から拝借していたことが発覚したり、ジムが当時のキリスト教ではタブーとされていた同性愛も発覚したりとまさに針の筵状態で失墜。

終盤はジムも逮捕されちゃって、持て囃されていたタミーも見向きもされなくなっちゃって、しかもなんだかんだ愛していたお母さん(チェリー・ジョーンズ「空はどこにでも」)も亡くなってしまい、落ちぶれてしまう。

ただ、生前は憎まれ口を叩いていたお母さんがまだお金を持っていた頃プレゼントした毛皮のコートを差し押されで全てのものが取り上げられても最後まで大事に隠し持っていたことを知ると再び立ち上がり、最後は再び表舞台に立ち、盛大に歌声を披露するラストはジェシカの熱演と歌声の見事さもあってグッときた。

まさに波瀾万丈の人生。厚化粧と根明な感じで誤魔化してるけど、このタミーって人は誰かを愛し、愛されたいそのために神を信じて突き進んだ人だったのかな。

あんまり宗教とか、それこそ今作に出てくる実在の人たちのことは何一つわからないけど、手堅く丁寧に描いた作品でした。
R

R