田中フラペチーノ

美女缶の田中フラペチーノのレビュー・感想・評価

美女缶(2003年製作の映画)
4.0
『なんだこの映画?”美女缶”?』
鑑賞前、タイトルが連想させたのは”消費的なポルノ”
ところがどっこい。その内実は、現代人の出口のない孤独を見事に映していた。
この映画のテーマはポルノや官能ではない。
各シークエンスに、若者悲しみ、むなしさ、誰かにすがりたい孤独に訴える気持ちに溢れている。
最後の最後まで、孤独から逃げるように夕立の下を走り続けた青年の、その背中こそが、今を生きる僕達の姿そのものだと気づいた時、この映画は自分にとって特別な作品に化ける。

【雑記】

・何者になりたいのか、自分でもよく分からず、そんな人間同士で鍋を囲んだあの日は、もう戻ってくることはないし、そんな友達はもうできないのかもしれない。

・夏の蒸気に隠された青年の閉塞感を、誰が見つけてくれるのだろうか?

・悩んでも許される時期があった。悩むことを推奨された時期があった。