Haruki

青春の殺人者のHarukiのレビュー・感想・評価

青春の殺人者(1976年製作の映画)
3.5
主人公の順は、両親から、幼馴染の娘、ケイコとの結婚を反対されただけでなく、興信所に依頼して娘の義理の父との過去の不貞行為までバラされてしまう。逆上した順は両親を殺害する。
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親殺しをして、ケイコと駆け落ちするのか?と思いきや、ケイコとも縁を切りたがる。どうやら娘時代、母の再婚相手のオヤジとの性行為が嫌だったのか。気持ちは分からんでもない。
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順は自営のスナックも友人も何もかも捨てようと逃げ惑い、終始、自暴自棄。一瞬、罪の意識に苛まれ、検問中の警官に自首しようとするが、ケイコに止められる。
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ケイコは殺人を犯した順に付きまとい、あんまり順の気持ちが分からない。彼女は特に身寄りがないから、悪い男との逃避行感覚なのかと伝わる。どこか気持ちの軽さが見てとれて、順の感情とのコントラストになっていると感じた。
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何者かになりたいが、何も持っていない20歳前後若者が衝動的に人殺しをし、警察に捕まりたくない逃避願望と罪の意識との狭間を描いていると感じた。ドストエフスキーの罪と罰のような(怒られるかな?)若者特有の、モラルに反したエネルギー発散の結果、鬱屈した日々を送る描写がひしひしと伝わった。
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ゴダイゴのテーマソングも良かったし、酒場や地域祭りなど、70年代の息遣いが伝わった。水谷豊の血塗れになりながらの血気迫る表情も印象的。
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