このレビューはネタバレを含みます
子供視点の映画って「地下鉄のザジ」「ロッタちゃん」みたいに毒っ気のない、なーんにも起きてないようで、時の経過が丁寧に描かれていてずっと観ていられるのもある。
でも大抵はこういうものな気がする。
社会情勢や大人の都合に振り回されてる。
何よりも大人のことちゃんと見てるんだよね。鋭い眼差しで。
見ているだけでなく子供たちは行動を起こす。夢の国を目指して線路を歩く。
赤ちゃんができると信じ込む純粋さや大人への気遣い。ツケで買い物するために子供だけでおつかいさせてるのか。子供って服が汚れたり破れるの当たり前だけど貧しいから気を遣わないといけないの辛い。
おばさんの家のスープやペラッペラのパンは笑える。
ちびまる子ちゃんの両親の悪いとこだけ強調したみたいな親だな。お母さんは常にイライラして厳しい。お父さんはいい加減。でもそれは貧しさ故に余裕のなさからくる問題。深い愛情があることはさりげなく表現されていた。そんな二人の間で育つビッレは賢い。
戦争映画ではないので大人の会話にさりげなく時代背景が盛り込まれている。
崩壊しそうで崩壊しない家族の行く末を見守っていたらいつの間にかエンドロールを迎える。
ハッ!これは貧しいながらも知的で想像力豊かな少女が成功するお話だったんだと最後に気付いた。不幸な子供を見せて泣かせる映画ではなかった。