1985年のフランス、進路に悩む16歳の少年アレックスは自然体で飄々とした18歳のダヴィッドと出会い、惹かれ合います。
そして「どちらかが先に死んだら、残された方はその墓の上で踊る」という誓いを立てます。
しかしこの恋はダヴィッドの呆気ない突然の事故死で終わりを告げることに…
今作はオゾン作品には珍しく原作があり、それは、E. チェンバースの小説『Dance on my Grave』(おれの墓で踊れ)そう、アレックスとダヴィッドの誓いです。
オリジナルではないため、本来の多少難解なオゾンらしさは無く、すっきりとシンプルに仕上がっています。
ただ、そこはオゾン!要所要所に魅せてくれます。
先ずふたりの悲劇が予め知らされること。
そして、ダヴィッドの心の描き方…
父親の死がまだ未消化の上に、息子が全てという過保護な母親の重圧、おまけにアレックスの重たい愛情、精神の機微を丁寧に表現します。
ラストも悲劇ではあるけれど、少年の爽やかな希望のある終わり方。
ただ、今作のオゾンで一番痺れたのは…
ドランをも越える音楽センスの良さ!
クラブで激しく踊り明かすふたりのワンシーン…
この作品の肝とも言えるシーンです。
そこで流れる曲が……R. スチュアートの”Sailing”
勿論プロットに合った歌詞なのですが、こんなにも素晴らしい歌詞だったとは…映像と相俟って心に沁みまくります。
そして、もう一曲、素晴らしい使い方をしているのが…エンドロールで流れるThe Cureの”In Between Days”
作中で亡くなったダヴィッドのanswer songになっていて、最後の最後で唸って涙です。
余談ですが、ジャケ写…ドラン同様、まさに『マイ・プライベート・アイダホ』BLのバイブル、そして大大大好きリヴァーはやっぱりアイコン!