Elly

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのEllyのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

最高にempoweringでembracingでinclusiveだった!!
前作も最高だったのにさらに前進していて、この作品を世界に出そうとした人たちがいる事実がもう尊い。

散々言われているだろうけど、「全ての人がスパイダーマンになり得る」というメッセージをはっきりと示してくれたのがもう最高。
今作で改めて実写3シリーズのピーター・パーカー像(白人の青年)から、
黒人とヒスパニック系のミックスであるマイルスに光が当たったことの意味の大きさを感じたし、他アースのスパイダーたちの多様さや、スパイダー1人1人が自分の在り方に悩みながらも誇りを持っている様子も、あらゆる背景を持つ人たちの居場所があることを示しているようで嬉しかったな。(そして前回からマイルスやグウェンもバックグラウンドにもより触れていてそれもとっても良かった)

新しいスパイダーたちとの出会いやスパイダー・ソサエティの存在にめちゃくちゃ心救われた!「Into~」ではマイルスとグウェンの二人を核とした小さなコミュニティだったけど、今作で一気にその輪が広がって、全てのスパイダーたちがスパイダーであることの孤独と責任と喜びを共有して連帯できる場所があって本当によかった。
スパイダーマンの一人がカウンセリングを受けているシーンを見た時、ちょっと衝撃を受けた。スーパーヒーローのケアが明確に示される場面は(私は)あまり見たことがなかったし、特にこれまでのスパイダーたちを含めたヒーロー像は常軌を超越したフィジカルとメンタルを持つスーパーな人がヒーローをやるという、ある種美徳にも似た前提があったけれど、そうではなくて彼女/彼らもまた私たちと同じ人間である(何なら私たち自身である)ことをはっきりと示してくれたのは良かったな〜。
このあたり、バックグラウンドを超えた連帯(Unity)について観ている側にダイレクトに問うていて、本国のアメリカでは近年の情勢もあってめちゃくちゃに刺さっているんじゃないかと思ったり。

あとマルチバースについて、最後の展開だけ見るとそれが持つ呪いや悲しさを感じるけれど、自分の人生を捉えるのにマルチバースってかなり有用だなと思った。自分が生きた(生きている)かもしれない幾つもの道を想像すると、今この世界線を生きている自分への解像度が上がって、誇りに思えるようになるかもね。

書ききれないくらい最高なところがたくさんあるんだけど、何よりも希望と闘志をこの作品から貰った。物語は現実と地続きであり、物語が現実の世界に良い影響をもたらすことをこの作品を作った人たちが信じているというその熱が伝わってきて本当に泣いた。「ビヨンド~」も本当に楽しみ。

ウルトラハイコンテクストなので、一個一個のジョークについていくのが大変だった笑 しかし、スパイダーマン・インディアの「『食べて祈って恋』するな」は最高だったな...。

あと2回は観に行きたい…!!
Elly

Elly