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夏への扉 ―キミのいる未来へ―のnobuoのレビュー・感想・評価

3.4
『夏への扉』まさかの実写化。原作は高校〜大学時代に読了。程々に忘れているので原作との相違点は不明。
“三億円事件のてん末”から始まる魅力的なif歴史モノローグ、意外とダサくない近未来都市の美術等、端々で光るものはあったが……どうしてもそれ以上に惜しさが上回る。もっと良くなる余地はあった。

一介のミスチルオタクとしては、要所要所で劇中曲に使われる「CROSS ROAD」引用の上手さだけは挙げておきたい。
第一次ミスチル絶頂期を迎えていた1995年(劇中)当時──前年に「innocent world」「Tomorrow never knows 」等の絶対的ヒット曲が出まくっていた中、あえて少し昔の「CROSS ROAD」(1993年末リリース ミスチル初のミリオンヒットシングル)を聴き続けるヒロイン……というだけでキャラ付けが出来ているし、“インモラルな歌詞”を意中の人と一緒に聴いた際のリアクション等、楽曲使用シーンにおける物語や演出とのリンクも上手く機能している。

……なのに。なのにあのエンドロールは無いって。いや、“彼女”に文句は無いですし、正直ネタバレで“主題歌問題”は知っていたんですが……やはり直接目の当たりにするとガックリくる。“終わり良ければ全て良し”となり得る可能性が消えたのは痛い。劇中終盤で音楽プレーヤーも結局放ったらかしになったので、「もうミスチルはいらねぇ!」……といった捉え方さえ可能になってしまう。

振り返ってみると、宇多丸さんの映画評とほぼ丸被りな感想になってしまった。決してパクリじゃないです。
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