ノリオ

鬼ガール!!のノリオのレビュー・感想・評価

鬼ガール!!(2020年製作の映画)
1.2
この映画は王道の青春エンターテイメントをやろうとしているのだろうが、その目論見は大きく空振りしている。

主人公のももかは鬼の末裔らしいのだがその素性を隠しながら生きている。正確には鬼と人間のミックスなのだが鬼の遺伝子は相当強いらしく、人間と交配したとしても“鬼”の子として生まれるらしい。何世代も人間と交配しているとしたら鬼の末裔が主人公一家だけなのはどうも合点がいかない。

そもそも実現不可能で大傑作と言われるあの脚本ってそもそも映画の脚本として成立してるの? とすら思う。
だってあれ舞台の幕間に映像入れているだけですよね? 音楽を生音にしただけですよね? あの脚本を読んで大傑作だ!というレン君はそうとう無邪気だと思うし、最終的に作ったのはやっぱり舞台ですよね、と邪推してしまう。

いやというか「連鎖劇」ってなにがどう「連鎖」してるんですか?
あと「連鎖劇」である作品のタイトルが「桃連鎖」ってまじで言ってますか?

脚本の整合性はあまりとれているとはいえず、登場人物たちの感情の変化もかなり都合のよい流れになっている。
それとこの映画は四季を表現しているのだが、季節の変化に使用されている映像が明らかにクオリティの低い機材で撮影しており、というか鬼のように手ブレしており、そんなことまでして四季を表現しようとしているのが本当に理解不能だった。

この映画は「地域創生ムービー」というらしい。
大阪の奥河内という地域を盛り上げるという目的があるそうだ。
でもさ、「地域創生ムービー」って何? それおいしいんですか?「地域」を「創生」するために明らかに誰かの都合と思われるシーンや政治家がキャスティングされている。こんなことが地域を創生するんですか?

個人的にこの「地域創生ムービー」というものに対してとても懐疑的だ。
だって地域を創生するのってさ、「おもしろい映画」をつくることでしかないと思うのです。誰かの都合の幕内弁当じゃあ地域は創生されないんじゃないですか?

主人公の井頭愛海や板垣瑞生の演者たちはそれでも好演していたし、奥河内はロケーションとして素晴らしいことはわかりました。
ノリオ

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