おい!お前ら!
いつまでバンゲリの話をしてやがる!バンゲリはもう終わったんだ!
今後、スタジオカラーが金に困るまではお預けだ!
いい加減現実を見ろ!
09年にアフガンで起きた「カムデシュの戦い」の現実を見ろッ!
「し…死ぬかと思った…」
見終わったあとの率直な感想はこれです。
目の前を銃弾が掠めていく恐怖は、20世紀最後の戦争映画の金字塔『プライベート・ライアン』で度肝を抜かれましたが、今作はそれを更に超えた戦場の恐怖を体験出来ます!
アフガニスタン、四方を山に囲まれた谷底に設置された米軍の前哨基地キィティング。
こんなとこに基地置いたらフルボッコ確定やんけ!と、ハナタレ小学生でも分かる立地で行われるアフガンゲリラとの血で血を洗う大激戦!
銃弾とロケット弾の雨霰の中を、勇猛果敢に戦う米兵たちの生の記録を描く、没入体験型戦争映画!
没入体験型の戦争映画といえば、2019年のサム・メンデスの擬似ワンカット映画の『1917』があると思いますが、それとはまた違う形の没入感です(僕は今作の方が断然好きです!)
例えば『1917』の没入感には、旅情的な美しさと高揚感があります。
伝令を任された兵士をカメラが背後や正面から追いながらも、銃弾が飛び交う戦場をただ体験させるだけではなく、背後には時に美しく、また時に残酷な情景が描かれます。
それは一つ一つが動く絵画であると同時に、主人公の精神と呼応し、最終的に彼はある種の成長を迎えます。
つまり『1917』は戦場のリアルを体験するのではなく、戦争という不条理の中で、青年が成長する叙事詩であり、神話の置き換えなのです(行きて帰りし物語であるギリシャ神話『オデュッセイア』を元にしており、その世界観を撮影監督のロジャー・ディーキンスが作り上げているわけですが)。
しかし、今作は違います!
戦争はそんな(敢えて言いますが)甘っちょろいモンじゃねー!
この映画にはそんな叙事詩だとか、美しくも残酷な光景はありません!
あるのは砂埃の中を飛び交う銃弾とRPGの炸裂する爆風!
その角を曲がったら…
ドアを開けて外へ出たら…
窓から外を覗いたら…
あらゆる状況で兵士達の動向にカメラが張り付き、その一挙手一投足が生死の分かれ目と化す。
その瞬間瞬間に観客も息を呑み、その結果に溜息をつく(良かろうが悪かろうが…笑)
そこには『1917』が描く詩的な情景は皆無であり、ひたすらに不条理な暴力の中では、怒号の中で必死に仲間を助け、この1日を生き抜こうとする一人一人の兵士達の生き様が描かれてます。
てゆーか、その方がリアルなんですよね、実際。
あと、この映画のほぼダブル主演のスコット・イーストウッドと、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズがめちゃくちゃ良いよ!
てかスコット、若い頃の父ちゃんにそっくり過ぎてめちゃくちゃ渋カッコイイ!
ケイレブの軍人的な肉体改造がまた凄い!
去年『デッド・ドント・ダイ』のヘニャヘニャホラー映画オタクの彼とは全く違う!
この2人の戦いぶりを、アフガンの地獄のような戦場で体験して下さい!
あとオーランド・ブルームの使い方が『ブラック・ホークダウン』の再現で、笑ってしまった、申し訳ない…
とゆーわけで、今週木曜(2021/03/18)の21時からのYouTube映画レビュー配信は『アウトポスト』を取り上げます!
https://youtube.com/user/TakeBtz0718