Tatsu

The color wheel(原題)のTatsuのレビュー・感想・評価

The color wheel(原題)(2011年製作の映画)
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英語字幕な上に怒涛の会話量なので、どこまで理解しているのかという感じだが、たしかに凄い映画だった。姉弟のロードムービー。ロス・ペリーは一貫して、社会や俗世間からの断絶、そして倫理的に危うくともそれを共有できる人と依存的関係をしてしまうこと、を描いている気がする。特に終盤のソファでの2人、寄っていくカメラ、からの衝撃的な境界越境はスリリングだし緊張感がある。ロス・ペリー自身が担当している編集が凄まじく、大胆なジャンプカットの数々に感心していると、ラストカットに不意に入るドアの開放にやられる。その前のショットの姉の涙に表される孤独と断絶があるからこそ。感動した。撮影監督もロス・ペリー作品でお馴染みの人だが、サフディ兄弟の『グッドタイム』も担当している。フィルム撮影、モノクロのザラザラした質感と、不安定なカメラワークが常に緊迫を保つ。しかし、同時に緩いコメディでもある。笑いは緩いが、そこで突きつけてくる、世間や社会からの断絶や溶け込めなさは緩くはない。傑作。
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