綿矢りさの純文学小説の映画化。悪くはない。おそらく原作に忠実に映像化したのだと思う。純文学小説って、言葉のチョイスの美しさや表現の美しさ、現実を漂わせるドヨンとした空気感が良さだと認識しているのだけれど、この映画では、少なくとも私が受けた印象としてはそれらの良さが消えてしまっているように感じた。
もちろん、いい点も多かった。林遣都のハズレ男感を攻めた絶妙な演技は良かった。ローマの展開や、片桐はいり演じる上司との会話、同僚の恋愛との比較など、（原作の感想にはなってしまうが）作品としての意味付けやメッセージ性は良かった。
ただ、何か物足りなさがあったり、イマイチ意図が直感的に掴めないカメラワークが、少し引っかかった。主観。（構図についてだと、妄想直後の氷をこぼして座り込んでいるところが本当に好きだった）
能年玲奈ちゃん、「東京百景」の朗読ぶりに見た。非常にいい味を出せていると思う。
