富樫鉄火

海辺の彼女たちの富樫鉄火のレビュー・感想・評価

海辺の彼女たち(2020年製作の映画)
3.5
#49 第3回大島渚賞記念上映会にて
全編、長回しと、見てはいけないものを見せられているような緊張感で、迫力のある映画だった。
「ドキュメンタリのよう」との声が多いが、そのように演出しているだけであって、これは明らかな劇映画。
ただ、審査員長の坂本龍一のコメントに「毎回候補にあがる作品の質が低いことに忸怩たる思いを抱えています」「最近の日本映画の大きな傾向として他者を傷つけることを極度に恐れることがあると感じます」とあった。
本作のような映画にさえ、こういうコメントが出るのは、おそらく「なんでもっと声を大にして言わないんだ」とのイライラが根底にあるのでは。
具体的にどの部分でそう感じたのか、わたしにはなんともいえないが、たとえば、あのラストなど、彼女はいったい、どっちのクスリを呑んだのか、観客に判断を委ねているような演出だった。
もしかしたら、こういう描き方に、坂本龍一は不満を覚えたのかもしれない。
富樫鉄火

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