第33回東京国際映画祭・ワールドフォーカス
サンセバスチャン映画祭に出品された作品。前作『僕の帰る場所』が高く評価された藤元監督であるがその作品は未見。
ドキュメンタリーかと見まごうほどリアルにベトナムから来た女性労働者を描いている。エンタメ的要素は皆無でひたすらに現実を映し出す。
文句のつけようがない。題材に対する誠実さや的確な演出、キャスティングが完璧。ラストシーンは丸二日間かけ、20テイク以上撮り直したというが、それだけにこの作品の白眉と言える凄まじいシーンだった。
働きに来た外国人がこんなに悪い状況に置かれ、そして女性であるが故にこんな選択を強いられるなんて。話は聞いていても映画としてみせられるといたたまれない。
僕たちができることは何か。それはまず言語によるディスコミュニケーションを無くし、彼らの話に耳を傾けることではないのか。