Echoes

ノマドランドのEchoesのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
-
テレンス・マリックを想起させる雄大な自然、美しい光とそこまでやるかというくらい生々しい、流浪の労働者たちの生活描写とのコントラストが印象に残る。ノマドとして自由に生きるという理想と、実際の生活の苦しさを象徴するかのように見えた。
主人公は他人に借りを作らず誇り高く生きたいと思いつつも、自分の車が故障した際には妹に頼らざるを得なくなる。物質としての家は持たずとも故郷はあるとハウスレスを自称し、物に固執しないで生きたいと思いつつも、亡き夫の遺品や自分がずっと乗ってきた車に執着している。
主人公はノマドとの出会いと別れを通してそうした葛藤や心の揺らぎに徐々に蹴りをつけられるようになっていく。心情の変化を少ないセリフで描いた映画らしい映画だった。
Echoes

Echoes