本作に似たようなことをしている小説にオン・ザ・ロードというタイトルのモノがございますが、こちらは主人公が若者。その若さならではの熱気と騒がしさに圧倒されたものです。
ところがどっこい、そんな明るく楽しいヒッピーライフも老人が行うと何故か惨めで悲しい空気になるのですね。地球という広大な四畳半で孤独死を待つばかりな空気感になんとも言えない気持ちになりました。
ノマドランド、オン・ザ・ロード、両作共に「人間らしく」をテーマにしているのでしょうが、若者にとってそれは「生」、対して老人にとっては「死」であるように思えてなりません。社会問題を切り口にした評価が多い作品ですが私には老いること、それにより失っていく事への恐怖を感じさせるものでした。
