不況で住む場所を失い、車での放浪生活を余儀なくされた失業者たちの暗い話と思いきや、そこには、誇りを失うことなく、「漂流」の中に自由を見いだそうとする人々の姿があった。彼らは「ホームレス」ではなく「ハウスレス」。車が「ホーム」なのだ。車上生活者をサポートする大きなコミュニティーがあることにも驚かされた。
高度資本主義社会である米国の「闇」の深さとともに、生き抜こうとする人々の希望も感じさせる映画だ。
ひるがえって日本はどうだろうか。経済的な格差が広がり、貧困層が増えている状況は米国と同じだが、行き着く先は「ホームレス」。私たちの国では「ノマド」の希望すらないのではないか。